山家学生式

国宝とは何物ぞ  宝とは道心なり
道心ある人を  名づけて国宝と為す
故に古人の言わく  経寸十枚、是れ国宝に非ず
一隅を照らす  是れ国宝なりと

道心あるの仏子  西には菩薩と称し
東には君子と号す  悪事を己に向かえ
好事を他に与え  己を忘れて他を利するは
慈悲の極みなり

 国の宝とは何か。宝とは道を修めようとする心である。
この道心を持っている人こそ、社会にとってなくてはならない
国の宝である。
 だから中国の昔の人はいった。
「直径3センチの宝石10個、それが宝ではない。
社会の一隅にいながら、社会を照らす生活をする。
その人こそが、なくてはならない国の宝である」と。

 このような道心ある人を インドでは菩薩とよび、
中国では君子という。
 いやなことでも自分でひきうけ、よいことは他の人に
わかち与える。
 自分をひとまずおいて、まず他人のために働くことこそ、
本当の慈悲なのである。

 伝教大師・最澄がお坊さんの修行あり方を説いた
「山家学生式(さんげがくしょうしき)」の一部です。
 これを読むと身が引き締まります。
少しでも「一隅を照らす人間」でありたいと思います。

「理念と経営」2010年9月号より

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください